私の経験が具体例、誰もが陥る「正常性バイアス」とは?

私の経験が具体例、誰もが陥る「正常性バイアス」とは?

 

近づいてくる積乱雲

こんにちは。サーです。

最近は災害が多いですが、その中でも話題になるのが、「なんで逃げ遅れたのか?

災害現場におらず、テレビなので映像を見ていると「おいおい、早く避難しなさいよ!」と思うようなことがありませんか。もっとはやく避難すればいいのに。と。逃げ遅れた方はみんな口をそろえて、「まさかここまでひどいとは・・・。」「ここまで酷いのは経験したことが無かった」とおっしゃいます。

この方たちの発言は時にTwitterなどで炎上することもありますが、これこそ「正常性バイアス」の影響なのです。この「正常性バイアス」という言葉と意味を知っているだけで、非常時に正しい行動を選択できる可能性が高まりますので、ぜひ覚えておいてくださいね。「日常性バイアス」といわれることもありますが、正確には「正常性バイアス」です。

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①正常性バイアスとは?

正常性バイアスとは、認知バイアスの一種で、社会心理学、災害心理学などで使用される心理学用語。自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまう人の特性のこと

引用元 Wikipedia「正常性バイアス」より抜粋

 

わかりやすく説明すると、人間は、新しい事象、未経験の事象に対しては警戒心を持ち、緊張します。ただ、緊張はストレスにもなるので、あまり大きなストレスにならないように、「今までは大丈夫だった」「何とかなるだろう」というような、根拠のない安心感に結び付けようとする心理状態のことを指します。

災害の場合は結果として逃げ遅れの原因となってしまうことが多いですが、無意識なので、一般的な「油断」とは区別され、また、生存をあきらめた「覚悟した」状態とも区別されます。

 

②自分も「正常性バイアス」の怖さを味わった一人

実は、わたしも「正常性バイアス」の影響で危険な目に遭った経験があります。それは、登山中。

最初の写真がその時のものです。何が危険かわかりますか?

答えは「近づいてくる入道雲(積乱雲)」。

積乱雲は、夏の暑い時期に発生しやすく、急激な上昇気流によって発生する背の高い雲です。近年増えているゲリラ豪雨や竜巻なども、この雲の下で発生することが多いといわれています。

この時も、朝は雲一つない快晴の中でスタート、8合目まで登り、頂上が見えそうなところで、少し雲が見えだしました。しかし、低い雲だったこと、平らだったことから登山を続行。

9合目まで登ったところで、平らな雲の中からムクムクと雲が立ち上がり始めているのが見えました。積乱雲です。当時その危険は知ってはいました。しかし山頂はすぐそこです。また、今までは、雲にあたっても、夕立に合うくらいの経験しかしたことが無く、私たちは、「急いで登頂して、お昼は食べずに下山をはじめれば大丈夫だろう。」という判断をしました。

山頂に到着して、記念写真を撮り、ついでに撮ったのが最初の写真。積乱雲はすぐそこまで迫っており、雷鳴も聞こえてきました。

ここで初めてわたしたちは危機感を感じ、急いで下山を開始します。しかし、間に合わず途中のガレ場(岩ばかりの場所)で雷雲につかまりました。雷雲の中の状態は想像を絶するものでした。

髪の毛は帯電して逆立ち、持っていたカーボンのストックはビリっとしびれる程でした。雷は上ではなくすぐ横からも聞こえ、鼓膜がバリバリと鳴りました。わたしたちは、一か所に集まると危険なのを知っていたので、バラバラになり、ハイマツの影や岩の陰に隠れてやり過ごしました。一度、近くの立ち木に落雷し、煙が上がるのが見えましたが、激しい雨ですぐに消えました。

幸い15分ほどで通り過ぎていきましたが、落雷の直撃を受けていたとしたら、片道4時間の山道、さらに大きな病院までは車で1時間。まず助からなかったでしょう。救助隊や家族にも大変な迷惑をかけるところでした。

 

「山は逃げない。引き返すのも一流のクライマー。」山の先輩のこの言葉に感銘し、山で遭難する人を正直「迷惑な人」とさえ思っていたはずなのに、自分がまさに「迷惑な人」になってしまうところでした。

助かったのはただの「運」。恥ずかしいことです。

 

夕焼けの地平線

帰りに見た夕焼け。生きててよかった。。。

 

③なぜわたしは「正常性バイアス」にかかったのか?

わたしの場合の「正常性バイアス」の原因を考えてみました。

・3時間半の登山で若干疲労していた。

・あと少しで山頂だった。ここまで来て引き返すのがもったいなかった。

・すぐにおりれば大丈夫だと思った。

・風向きから、雲がこちらに来ることはないだろうという判断ミス。

・雷が自分に落ちる確率を楽観視していた。

・仲間同士で根拠のない「大丈夫だろう」という判断。

どうですか?バカでしょ?もし遭難していたら炎上間違いなしですね。

登山はそれまでも経験していました。また、山の危険、天気の急変の危険も十分知っていました。なのにそれらの知識を無視した。自分にとって都合の悪い情報を無視。

まさに「正常性バイアス」でした。

 

④「正常性バイアス」の存在を知ることで、逃げ遅れは防げる。

無意識に起きてしまう思考「正常性バイアス」。しかし、その存在を知り、自分にバイアスがかかっていないか意識することで、逃げ遅れ、判断ミスは防ぐことができます。

なにかいつもと違う危険な状況、予兆を感じたり、予報などで情報を知った時に、次のことを意識して自分の行動を判断してみましょう。

・周りの意見・行動を根拠にしていないか?

・低確率の「最悪の結果」より、高確率の「何もなかった」を優先していないか?

・避難が困難な理由(高齢の同居人、幼児がいる。準備ができていないなど)ばかりを考えていないか?

・自分のしようとしている判断が後悔しないものか?

このことを意識して「正常性バイアス」を排除し、正しい判断ができるといいですね。

 

⑤実はそこら中にある「正常性バイアス」の悪影響

救急車

災害時に話題になるようになった「正常性バイアス」実は日常の中にも悪影響を及ぼしています。

例えばこれからの夏、「熱中症」になる方が多くなります。学生が部活動中に集団でなることがありますよね。「今までもこのくらいの練習なら大丈夫だった」「ライバルはもっと頑張っているかもしれない」という心理が判断を鈍らせます。

社会人が精神的に崩壊するまで働く心理「周りもみんな残業している」「いままでも困難を乗り越えてきた」「がんばればいつか楽になるはず」「精神的につらいのは甘え」など。これについては、

ブラックな職場がなくならないのは「正常性バイアス」のせい

でも記事にしました。仕事に苦しんでいる人、ぜひ読んでみてください。

 

これらは、自分の身体から不調のサインが出ているにも関わらず、「正常性バイアス」によって「まだ大丈夫」という根拠のない判断材料を優先させている状態です。

自分の思考や身体のサインを最優先することで、あなたはもっと「生きやすく」なるかもしれません。普段から、「日常性バイアス」意識してみませんか?

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

サーでした。

 

=「正常性バイアス」をもっと詳しく知りたい方へ=

教育職や組織のリーダーなど、周りに影響力のある人が知識を得ることで、より多くの人々を助けられるかもしれませんね。まわりの人の判断に影響される「正常性バイアス」を逆手にとった方法です。また、知識を持った方が災害時に積極的にリーダーシップをとることで同じ効果が得られますね。

参考になる本をまとめてみました。

 

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